教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
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新年あけましておめでとうございます
 明けましておめでとうございます。年末年始に日当直などで診療に当たっているみなさま。ご苦労さまです。
 私は、年の初めにあたり、大学や関連病院に所属するみんなが意識しておくべき『教育』について、考えてみました。
 私がするアドバイスのひとつに「教えてもらうときに、自分が教えるつもりになって勉強してください」というのがあります。教えてもらっている鼻から、自分ならこう教えるなあ〜と思いながら、考えながら、勉強してみる…ということです。そして、機会があれば(友人や後輩の)学生であれ、研修医であれ、誰かに教えてみる…ことを実践することです。これは実は、結構、勉強の本質をつく勉強方法なのです。新しいことを学ぶときこそ、学ぶ人の気持ちになれるわけで、どこが分かりにくいのか? こう言えば、もっと分かり易いのではないか? ということを最もしっくりと体感している瞬間なのです。そして、さらに教えるときこそ、再び学ぶことを意識できますし、学ぶ人の気持ちになって考えられるチャンスです。
 私は、何かを教えるような時には、その時間内で、何をどのように伝えるのか?自分が教えてもらったときに、何が分かりにくくて困ったか?などを思いだしながら、できれば印象に残る方法を考えて、構成を考えていきます。とにかく思う事は、覚えるべきことが多くなっている…ということです(逆に、教える立場に立つと、短時間の中で、いかに分かり易く、かなりの情報量を入れないといけないか…ということになります…がこれも教える方のエゴで、教えられる方は、短時間でどれだけ並べられても、すぐにお腹いっぱいになり入りません)。学問がどんどん進歩しており情報量がとてつもなく多くなってきているので、学ぶ方は本当に大変だと思います。昨年9月中旬に、内科(総合内科)専門医の試験を受けましたが、全くもって自分の知識が不足していることに気付かされました。イヤーノートというのが売られており、私が国家試験を受ける数年前から売り出されたと記憶していますが、その分厚さも2倍ちかくになっているのではないでしょうか。まあ、とにかく知っておくべき情報量がどんどん増加しており、それに対応することが求められている現実を感じます。
 教える方は専門医で、それだけ勉強していればある程度やっていける有利な立場であるわけです。国家試験の対策本などにありがちな、親切心からの知識の羅列…になると、聞いている方(学んでいる方)は、知らない外国語を聞いているのと同じ状態になってしまうでしょう。教える方は、もっともっとシンプルなメッセージにして、いかに大切なことを頭に残してあげられかを意識して、しゃべり方や提示の仕方を考えるべきだと思います。さらに、最近気付かされた重要なことは、その『大切なこと』は、やはりその分野の基本であり、基本的な考え方や捉え方であると思います(印象に残る講義をされていた昔の先生は、これに時間をかける余裕があった事もあるのかも知れませんが、この基本を重視した教育をされていたように思います)。どうしても診療のために教えないといけない事が増えて、基本を教える時間がなくなっているのも事実ですし、必要なことを教えられなければ、それが批難されてしまうのが現実であろうと思います。しかし、生理学や解剖学の基本がしっかりと身についておれば、どのように病気になり、どのような病態生理であるのか?を考えられますし、無理矢理に覚えなくても考えながら理解できる可能性もあります。基本を身につけることで、将来に自分でしっかりと学び自ら考えて成長できる医師の卵を育てる…循環器内科としては、そういう教育を提供していきたいと考えています(そのための学生教育内容のminor changeを模索中です)。
 世界的な医学教育のやり方や常識に対応するために、日本の医学教育が大きく変わろうとしています。情報量の増加にも対応している結果かも知れませんが、医学部学生の教養教育の時間が激減し、どんどん早期に専門教育を提供するようになっています。個人的には、勉強はできるかもしれないけど、ますます世の中のことは知らない医師ができるのではないかということを危惧しますが、色々なことに余裕がなくなっている世知辛い世の中の流れなので仕方ありません。そして、低学年から基礎医学を学び、3年生では既に臨床の勉強を開始するのが常識になってきています。実習が増加する…というカリキュラムの変更に応じて、それでも講義の時間が増加しているわけではないので、教える方もよく考えて情報を提供しないといけないことを自覚すべきです。
 また、教育でもあり診療にも関連するのですが、専門医というものの捉え方が変わろうとしています。いままで各学会が主導で様々な事を比較的都合よく決めて来たのですが、これからは第三者の評価によって、その決めごとも評価される時代になりました。直接的に我々の関係する問題としては、内科専門医の教育システム(専門医受験の際に必要である要件)に関連して、関連病院での研修システムやカリキュラムもかなり変化していく(せざるをえない)可能性があります。本年度中には、そのシステムがほぼ決定されることになっており、その変化によってはマッチングを含めた新研修システムの導入時にあったように、再び研修医や若手医師の動向にも影響を与える可能性があるのではないかと言われています。
 学会は、医師の学び続ける環境を維持し、診療のレベルを維持する(すなわち、専門医教育システムの維持の)上で重要な組織であるとは思いますが、お金が動き、権力を持ちたい人がいる現実もあり、かなり増加しすぎた感があります。あまりに多過ぎる学会は、仕事(やりたいこと)の邪魔になっていると感じることも多く、個人的にはあまり増やして欲しくないし、最低限の学会しか参加もしたくありません。専門医の種類もその学会数の増加に伴い、益々増加しているように感じています。その専門医というもの自体が、第三者から必要性も含めて評価されることは、大切なことであると思います(ついでに、その学会の必要性も第三者機関から評価していただき、学会同志の統合合併を含めた提言などを出していただくと嬉しいのですが...)。一旦取ったら維持が簡単な専門医よりは、取ることは容易でも維持の方が大変な専門医の方が、世の中からは求められているのかも知れませんので、専門医の捉え方も変化することは良いことだと思います。学会の事情としては、あまりに少数の専門医しか排出できなければ、その学会に所属する医師や構成員の全体数が少なくなり、学会としての力(発現力・経済力など)は強くならない…だから会員数を増加させるためにも専門医数も増やさざるを得ない…というような考え方もあるかもしれません。少なくとも、内科学会としては内科医を教育するシステムを維持するためにも、専門医の数は増加させて、さらにその上に指導医という、現在は学会からの依頼によって任命されて内科医の後輩の指導的役割を担う医師を、資格制にする予定のようです。だからという訳ではないですが、大学病院や関連病院で、指導医としてやっていくつもりの医師で、受験資格の有る人は、早めに専門医(まだ取っていない人は認定医)を取っておくことをお奨めします(今もある程度はそうなっていますが、今後はますます、普通に研修医の居る関連病院で医師をするだけでも、何らかの専門医資格や指導医資格は求められる時代になることが予想されます)。
 まあ、色々な思惑があり、内科専門医制度がどのようなシステムとして決定されて運用されるのかは今のところ不明ですが、全体として地域医療を含めた診療面もうまく周り、多様な夢を持った内科医が、それぞれ成長していける環境を維持できるシステムの構築を願っています。
 まあ、年のはじめに色々なことを長々と書きましたが、診療に於いても、研究に於いても、指導される方もする方も、その立場と相手の気持ちを考え、自分なりにどのように教育を(受けながら)行うかを再度考えるきっかけにしてもらえれば幸いです。教育をする方も、評価されている…ということを意識しながら、今年もがんばりましょう。 ty 
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