教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野の近況報告及び教官のつぶやきブログです。興味のある「カテゴリ」(左側リスト4個目)をクリックしてみて下さい。
プロフィール

toyamash

Author:toyamash
神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野の近況報告ブログです。↓の興味のある「カテゴリ」をクリックしてみて下さい。



最新記事



月別アーカイブ



カテゴリ



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



QRコード

QR



すぐに役に立たない勉強(5) SNP
この話しは、カテゴリから「すぐに役に立たない勉強」を選んでいただき、下の(1)から順番に読むと少しは分かりやすいかもしれません。

 遺伝病というと、どのようなイメージを持っているでしょうか?生物で勉強したメンデルの遺伝の法則にのっとった遺伝病の理解は、そんなに困難ではありません。簡単に、設計図の異常とも言えるでしょうし、異常の設計図からは蛋白ができなかったり、異常蛋白ができて疾患になりやすい…それで説明可能です。 
 生活習慣病と呼ばれる糖尿病・本態性高血圧・かなりの脂質異常症、そして循環器内科の扱う虚血性心疾患は家族歴がおおいに関連することは分かっていますが、昔ながらの少なくとも単一もしくは少数のDNA設計図の異常では説明ができません。20年前くらいに一塩基多型single nucleotide polymorphism; SNP(スニップ)の研究がPCR(polymerase chain reaction; さすがにこれは説明しませんが)の普及によって容易にチェックできるようになり、さかんに研究されました。ただ、この時はある遺伝子に注目してのSNPの有無によって、例えばその遺伝子産物の量や機能が変わるので、この病気になりやすいかも….というような研究でした。数多くの論文が発表されたにも関わらず、私自身が興味を持てなかった(一つも記憶に残っていない)のは、one of themを必死で研究している印象を持ち、その研究手法自体(すなわちたった一つの遺伝子のSNPに最初から必死になっている研究姿勢)に疑問を持ったから….というような記憶があります。しかし、時代が変化して、今はGWAS(Genome-wide association study;全ゲノム相関解析)による疾患との関連を調査する研究によって、全ゲノムのSNPを網羅的に調査して、このSNPがこの疾患に関連して、あると(ないと)何倍くらい疾患になりやすい….というような研究スタイルに変化しています。論文としては、読んでも面白くない…すなわち大規模臨床研究のような結果提示(理由なんか知らんけど、こういう結果だったので、これをエビデンスとしてみんな尊重しろよ!という感じ)であり、高血圧の研究だと、この第何番染色体長腕(q)にあるrs(reference SNP)ナンバー何番のSNPがあると、収縮期血圧が1.5mmHg上がる…というような解析結果になります。そのマイナーアレル頻度は0.20です…とか書いてあり、そこの遺伝子もしくはその近傍の遺伝子にこんなのがあります….というような報告の表が書かれています。AとCの一塩基の多型で、Cがマイナーアレルとするとその頻度(minor allele frequency; MAF)が0.20(=20%)ということは、メジャーアレルAA(野生型)の頻度は0.80x0.80=0.64(64%)、ヘテロ型ACまたはCAが0.80x0.20 x 2=0.32(32%)、マイナーアレルがホモCCは020x0.20=0.04(4%)ということになります。そして、こういうSNPが、ダ〜といっぱい並んだ図が提示してある….という形態の論文になっています。 
 この結果は、すぐに診断法や治療への応用は困難であろうかとは思いますが、ここから新たな知見がでてくることは、想像にかたくないと考えます。しかし、まだまだ研究手法としても発展段階であることも事実で、そこが網羅的研究からのイノベーションがまだあまり起こせていない理由のような気もします。 ty
スポンサーサイト