教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
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「医学部の大罪」 和田秀樹 著
 和田秀樹さんは、灘/東大理III出身の精神科医で、受験のノウハウ本を数多く執筆されています。色々なジャンルの本を執筆されており多才ぶりを発揮されていますが、この本には医学・医学界・そして日本の医療に対しての意見を色々と書かれていました。さすがに医師ですので、踏み込んだ観察や意見も多く見受けられ、なるほどその通りだと思うことも数多くでてきますが、精神科医なので全分野に渡っての公平な意見ばかりではない…という印象でした。
 共感できるのは、専門医教育の弊害の話です。本当にこれは何とかしないと問題だといつも考えさせられます。専門医のほうが、医師も楽なので、みんなそれを目指してしまうという現実があると思います。教育をする我々にも大きな問題があると、本当に思います。
 例えば、循環器内科病棟に入院されている患者さんの処方に関して、学生や研修医に「LDLコレステロールはいくらで?いくらまで下げないといけないか?」という教育的な質問をしたとしましょう。最終的に答えの中で、(冠動脈疾患患者だから)LDL-Cを100mg/dL未満にしましょうという指導(教育)をしてしまいます(これはEBMとしては大きく間違っていないし、ガイドラインにも書いてありますし、重症の動脈硬化をお持ちの方には必要だと思います)。しかし、教えられた方は、勘違いもあったりして、すべての人にLDL-Cをさげないといけない…と思い…検診でリスクの低い人でも、LDL-C 142mg/dLでひっかかった方に、その教えられた記憶が残っていて、スタチンを処方してしまうかもしれません。スタチンを処方すると、また食事なんかはどうでも良くてもLDL-Cは下がってしまい、患者も医師も数字に満足してしまう(本当に心血管イベントの発生減少にどの程度寄与しているかは不明で、医療費だけは多く使用していることだけは事実)。どうしても、重症の病気を数多く診察/治療する専門家ほど、すぐにガイドラインを踏襲して、どんどん内服薬ばかりが増加していくという現実があり、そこで教育を受けた人が、(ちょっとでも異常があれば、ガイドラインに書かれた薬を使用していない場合の評価が低くなるような印象を持ち…実際にそういう指導をする先生も見かけます)ますます薬漬けの医療にそまっていくのではないかと、不安にかられることも多いのが現実です。是非、EBMを分かった上での、もっと「why」を意識して、状況に応じた適正な医療というものを提供することを意識させるような医学教育にすべきではないかと考えてしまいます。 
 また、大学などで行われている研究に関して、医療費を低く抑えるための研究がない…とこの本に書かれていましたが、少なくとも私は、そのような研究をしたいと本気で考えており、目指すは循環器内科が商売あがったりになったらいいのにと考えています。大学病院ですら、独立行政法人になり儲けないとやっていけない状況になっています。学問がどうのこうの…の前に商売として成り立つことが組織を維持するために必要となり、簡単に言うと(経営上は病院として)私立の病院となにもかわりません(実際に目の前で、そういう事象がどんどん現実化しています)。効率ばかりを目指して…世知辛い世の中になりつつあります。間違いなく、理想を唱える医療から、一見効率の良い医療を掲げた(実は)儲け主義の医療になり、最終的に行き着くところは経済の破綻(=国家の破綻=医療の破綻)であることは自明です(資本主義の最終章がどのような物かは、まだ誰も知りません)。我々、循環器内科医が、医療費を安くするための研究を是非すすめることが、結果としては、国を守り、医療を破綻させずに、国民の健康を守ることにつながると思っています。現実を冷静にとらえながら、批判や非難ではなく、自らできることを淡々とするだけです。
 本の話から完全に脱線してしましたが、まあちょっと変わった循環器内科医の意見です。 ty
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