教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
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すぐに役に立たない勉強(4) microRNA
 この話しは、カテゴリから「すぐに役に立たない勉強」を選んでいただき、下の(1)から順番に読むと少しは分かりやすいかもしれません。

 血中のmicroRNAを癌の診断に利用して、癌の早期発見などに使用する試みが大きく発表され、ニュースで取り上げられていました。microRNAによる翻訳調節も、エピジェネティック遺伝子制御の一種とも言えます。
 microRNAとは21~24塩基の短いRNAで、対応するmRNAの3’UTR(実際の蛋白翻訳に関連しない3’側の非転写領域)に結合することで、蛋白の翻訳を阻害したり、mRNAの分解に関与します。当初、細胞内に存在する小さなRNAが多くあることは分かっていたようですが、転写のしそこないによる不良なRNAと考えられていました。これがヒトゲノム計画によって98%以上の蛋白をコードしない領域から作られていることがわかり、実は重要な役割を担っている事が解明されました。
 microRNAの特徴は、一つのmicroRNAが複数の遺伝子を標的にしていること。蛋白の翻訳抑制作用は不完全であること(この不完全さも重要な要素のようです)。そして、組織特異的に発現すること。上記の癌の診断に使用できるのは、3つ目の臓器特異性に注目したということです。癌に特異的に出現するmicroRNAが、漏れだして血中にでてきた分を、チェックすることで診断に利用しようというものです。おそらく、チップにして診断キットを作成すると比較的安価に提供可能になることでしょう。
 基礎実験の経験のある人なら、RNAというのは、どこにでもあるRNaseという分解酵素があるので、すぐに分解されることは常識として知っているはずです。なぜmicroRNAは安定なのでしょうか?血中に存在するmicroRNAは、微粒子内に存在し、HDL粒子や蛋白に結合することでRNaseから保護されている状態になるようです。循環器疾患のバイオマーカーとしても研究が進んでいますが、さらにmimicsやanti-microRNAにて治療も想定した研究もされています。個人的には、HDL粒子内に存在する…というところに何かが潜んでいるように思うのですが、誰か興味を持ちませんか?? どこかの臓器で産生されたmicroRNAが、血液を介してどこかの臓器の中に入って….というのはまさかないとは思いますが、誰かそういう研究をしているかもしれません。科学は知るほどに、色々なアイデア(時に単なる妄想)につながります。
 週末は、千里サイエンスセンターで開催された代謝・肥満に関連したシンポジウムに参加していました。本当に、他分野の先生の話しを聞くのは、楽しいものです。ミトコンドリア病(MERRFやMELAS)のマウスモデルの話しを聞いてびっくりしましたが、何と糖尿病の反対のphenotypeとなっていました。正直、しっかりとその理論を理解できませんでしたが、こういう予想しない結果がでている時こそ、そこに何か重要な真実がひそんでいるように感じます。「重力」を感知すること(しないこと)が予想もしないような疾患発症に関連している事実も、複数の疾患で証明されています。何か、動脈硬化や心不全で関連あるかも??とか、普通の循環器内科医では思わないでしょうね。是非、普通でない考え方をしてみましょう。 ty
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