教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
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すぐに役に立たない勉強(1)
 最近の科学(研究)の進歩は速く、正直論文を読もうと思っても理解しにくい…すなわち論文を読みこなすための基礎知識が多すぎるくらいに多く必要になっているというように感じます。例えば、山中先生のiPS細胞発明の2006年Cellの論文をそういう目で読み直してみると、ES細胞の研究の歴史における転写因子をはじめ数多くの知見・遺伝子工学/発生工学の基本的知識・分子生物学の分野での常識・エピジェネティックス領域での基礎知識などが駆使されて実験が構築されており、その理解のためには様々な知識(科学者としては常識の歴史的な発見などの知識)が必要で、それがないと読んでも意味不明になる箇所がかなりあります。私は、幸い、そういう事を学ぶ機会を与えていただいたこともあり、これくらいまでは何とか理解ができます(本質的な部分まで理解できたり、それを使えるかどうかは別です)。まあ、興味があっても理解できない人がかなりいるのではないかと思いますが、理解できなくても医者はできます。
 科学(医学もこの中に含まれると思いますが)を勉強するというのは、中々時間もかかり大変なことです。でも、勉強していくと理系あたまの人には楽しく感じることも多いと思います。また、異分野の研究であるからこそ、それを自分の専門分野に活かすことでイノベーションを起こすことができるチャンスがでてきます。ただ、自分の専門分野の論文のように、すぐに役に立ったりはしません。しかし、科学の真理や新しい知見を学んでこそ、自分の専門分野の疾患の機序などに関して、異なる角度からの見方ができたり、さらに深く考察できるチャンスがでてくるようにも思います。真摯に、そういう取り組みをしてみようと思う人がいないと、おそらく医学の進歩は止まることでしょう。
「すぐに役立つ物(者)は、すぐに役に立たなくなる」という言葉もあります。表面的な技術や知識はすぐに身に付きますが、奥深さもなく、異なるエビデンスが出てきた瞬間に過去のもの(ときに非常識)になる可能性があります。科学の普遍的な真実や、それの発見の歴史を学ぶことで、また新たなことを見つけたり考えたりするきっかけになると思います。すぐに役に立たない勉強もしっかりとしたいものです。
 また、医学ばかりで科学の勉強をあまりしていない人にも、少しでも興味を持っていただくために、「すぐに役に立たない」ような医学に関連する科学の話しを、時々紹介することにします(あくまで、私の興味と知識の範囲の中なので、大して深い話しではないかも知れませんが)。 ty
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