教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野の近況報告及び教官のつぶやきブログです。興味のある「カテゴリ」(左側リスト4個目)をクリックしてみて下さい。
プロフィール

toyamash

Author:toyamash
神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野の近況報告ブログです。↓の興味のある「カテゴリ」をクリックしてみて下さい。



最新記事



月別アーカイブ



カテゴリ



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



QRコード

QR



私の好きなイノベーション(培養牛肉のお話し)
 国連の世界人口推計によると、地球上の総人口は2025年までに80億人を超え、食糧確保の問題がもっと深刻になると予想されています。インドや中国などの所得水準が上がると食肉の需要が増すことは間違いなく、世界の土地のすでに70%が開拓され、ウシやブタの放牧面積はもはや限られていることを考えれば、今の方法論では解決は困難となるでしょう。増える食肉需要への対応として、オランダでは牛肉の人工培養が行われており、数年以内に商業利用の可能性も出てきているそうです。
 作り方は、ウシから筋肉のもとになる幹細胞を採取し、特別な溶液に浸して36回以上倍々と増やすと、次第に細胞はチューブ状の細長い筋肉細胞に変わり、これをリング状に何層も重ねて3週間ほどさらに培養すると筋繊維を作れるようです。化学の実験で使う透明な容器(シャーレ)に入った生肉は、ウシの細胞から培養した肉で、大量のウシを育てる必要なしに肉を手に入れられます。 無菌で培養するため雑菌がいないので、培養肉の賞味期限はなく、冷蔵庫などで保存すれば、理論上は半永久的に鮮度が保たれる。また、温室ガスの発生も無いので、環境にもやさしいことになります。
 幹細胞といえば、日本では再生医療研究を思い浮かべるのみですが、オランダの大学の研究室では、幹細胞を食肉に変えて食卓を飾ろうと発想が大きく違うようです。
 試験管で肉を培養する発想は、1932年に元英首相ウィンストン・チャーチルが提唱したようで、決して新しい概念ではないようです。科学が進歩すれば、牧場がなくても培養器で肉を生産できるとの考えで、土地や飼料がいらない魅力を述べていたようです。しかし、2012年に初めて培養肉(ミンチ肉のような感じ)の試作に成功したようで、困難なことも多いのが現実のようです。
fc2blog_20140616134225b62.jpg
 研究はさらに進み、昨年世界初の「培養肉でつくったハンバーガーの試食会」を開催したようですが、この時は、ハンバーガー1個の値段が研究費など込みで約3500万円だったようです。ここ1年で細胞を育てる培養法や培養液を改良してハンバーガー1個2000円以下で作れるまでになっているようです。食べた感想は、「食感は普通のハンバーガーを食べているようで問題ない」「脂肪分がなく赤身の肉を食べているようだ」ということらしいです。最も気がかりなのは、消費者が受け入れるかどうかですが、「動物の命を奪う必要がないのでベジタリアン(菜食主義の人)にも安心して食べてもらえるというメリットもあるようです。さらに、味や見た目にもこだわるのなら、(幹細胞から分化させた)脂肪細胞を入れてよりジューシーさを追求するという案もでてくるでしょう。層を重ねて、ステーキ肉にする案もあるようです(そのためには、non-compactionの状態をcompactionにしないといけませんね)。
 近い将来、買い物に行って、日本産・オーストラリア産・アメリカ産に加えて??研究室培養室産の牛肉を選択することになるのでしょうか? これが受け入れられれば、日本で作ることが可能となり、食糧自給率が、かなり上昇することは間違いないですね。(新聞記事参照) ty
スポンサーサイト