教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
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医学と科学 / X線回折とその応用から考える
『低燃費タイヤ』という言葉が、CMででてきますが、どういうことか(なぜタイヤが変わると燃費がかわるのか?)ご存知でしょうか? 物理で考えると、エネルギー効率をよくする…すなわちいらない発熱を減らし、エネルギー効率をよくすればよいということになります。この為には、路面を転がる際に変形して生じる抵抗を減らせばよいようです。でも、摩擦をさげれば、雨などの時に車を止める性能が落ちてしまい、安全性が低下するようです。この相反する問題を解決するために、物質の構造解析に用いるX線回折法を使用して研究を進めているようです。
 ゴムの内部構造を調べ、タイヤのグリップ力を高めるために含有されているシリカ微粒子がゴムの内部で凝集して摩擦抵抗が増すということが解明されました。だから、ゴムの中のシリカ凝集を防ぐ素材を開発すれば、抵抗が増加せず、グリップ性能も維持できる..という理論で開発されたのが、低燃費タイヤということのようです(日経新聞記事参照)。こういう素材の構造を1〜0.1μmの精度で解析できるのが、X線回折です。この方法により、新しい製品が開発できるようになっているということです。X線回折は、DNAの螺旋構造解析や、歴史的にかなりのノーベル賞に関連した研究に使用された解析方法なのですが、今は企業なども利用して、素材開発、商品開発に多いに活躍しているようです。
 この方法は、SPring-8(兵庫県佐用市)で少し研究をしていた私にとっても、少しかじった実験方法で、循環器内科(現 立証検査医学分野)のT先生がFirst authorの論文でも使用しています(病棟医長のT先生も一緒にやっていました)。An X-Ray diffraction study on mouse cardiac cross-bridge function in vivo: effects of adrenergic {beta}-stimulation. Toh R, Shinohara M, Takaya T, Yamashita T, Masuda S, Kawashima S, Yokoyama M, Yagi N. Biophys J. 2006; 90(5): 1723-8.
biophysj00074062F02_RGB.jpg
260px-SPring-8.jpg
 残念ながら、この方法を臨床応用にまではつなげることはできませんでしたが....

 大学で研究するということは、色々なことを勉強するチャンスになりますし、そういう広がりが楽しいし、幅が広がります。医学(特に自分の専門分野)を極めようとがんばることも大切かもしれませんが、医学を科学の中の一分野ととらえてもう少し広い視野・視座で見つめ、視野狭窄にはならないようにしたいものです。

 ちなみに、同じSPring-8を使用した研究で私が書いた論文ですが、こういう研究は視野狭窄の研究と言ってもいいでしょう。(でも、やっているときはそれなりに楽しいし、色々な勉強はできましたし、みんなで一所懸命やっていましたが....)
F1small.gif
Mouse coronary angiograph using synchrotron radiation microangiography. Yamashita T, Kawashima S, Ozaki M, Namiki M, Hirase T, Inoue N, Hirata K, Umetani K, Sugimura K, Yokoyama M. Circulation. 2002; 105(2): E3-4.
世界で初めて、生きたマウスでの冠動脈造影に成功した...というだけのものです。つまらないことでも、誰もやっていなかったことを世界で初めてやれば、論文にはなります(それだけですが....)。 ty
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