教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
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指導医(チューベン、オーベンの先生)へ
「いい臨床医」を育てる というエッセイを北海道大学の循環器内科教授の筒井裕之先生が書かれていました。この文章や意見は、以前に九州大学循環器内科で教授をされていた竹下 彰先生(平成21年他界)の遺言を基調にして書かれているということで、私自身が非常に感銘を受けましたので紹介しておきます(筒井先生は九州大学の竹下先生のもとで臨床/基礎研究をされていました)。

 いい指導医の5つの要件は、
1. 自らが「いい臨床医」であること
2. 「いい臨床医」の育成に情熱を注ぐこと
3. 自らが広い視野にたって研究に取り組むこと
4. 研究心を持った臨床医を育てること
5. メンター(Mentor)として自らを磨く努力を怠らないこと

だということです。
 研修医が「いい臨床医」になるためには、指導医は良いコーチであるだけでは不十分であり、良いメンターである必要がある。メンターの役割は、
1. キャリアパスや成長過程を見せる。
2. 医師としての仕事に対する姿勢や考え方、仕事の楽しさを教える。
3. 若手医師のサポーターとなる。

などが、挙げられるが、やはり医師として、人生の先輩として生き様を示すことが大切である。 

 どうしても「臨床志向、とりわけ検査や治療技術の習得に偏重」した考え方が重視され、検査数やら症例数を売りに研修医を集め、それを研修実績として強調するような施設が結構あることにも危機感を持っておられるようです。確かに、症例数を経験するだけで「いい臨床医」になれるのなら、苦労はないですがそんな訳はありません。
「患者さんの訴えによく耳を傾け、注意深く身体所見をとり、患者さんのかかえる問題点を的確に見いだし、必要な検査で、最もいい治療を受けていただく。そして、その結果を真摯に分析し、その患者さん自身、さらには次の患者さんに生かしていく。」ということが診療の基本であり、「いい臨床医」になるために身につけるべきことです。これは、医学研究の基本とオーバーラップします。 診療と研究の両方を経験する中でのみ、臨床医にとって必要な総合力が身につき、「サイエンスである医学」と「アートである医療」の両面から実践できる真の意味での「いい臨床医」として成長することが可能である。研修医を「単なる医療技術者マンパワー」にするのではなく、資質豊かな医師として育成することが我々指導医に課された大きな責務である。
 というのが、この筒井先生の書かれたエッセイの主旨です。

 私は大学院の時期に、竹下先生の主催されていた九州大学の循環器内科に憧れて、(足下にもおよびませんでしたが)少しでも追いつきたいと思って研究をしていました。ちょうど、内皮機能やNO(nitric oxide)の研究分野も重なっており、数多くの九州大学からの論文を読んで参考にさせていただいていました。鮮明に覚えているのは、その頃に我々の教室で作った内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の遺伝子組換え過剰発現マウスの研究成果を、私が初めて日本循環器学会総会で発表したときに、竹下先生は一番に質問に立ってくださり、まず“大変良い仕事だ”というお褒めの言葉をくださり、そのあとに核心をつくような鋭い質問をいただいたことです。本当に、質問をいただき、うれしかった記憶が残っています。また、私がNO研究に終止符を打ちつつあったときに、あらたな「炎症と動脈硬化」の研究を自らで行って、最初の論文を作成するにあたり、その一部の内容が当時の九州大学の研究内容とかぶることが分かりました。それでも、私は内容的にはArteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular BiologyというAHAの雑誌に投稿したいと考えて、アジア編集委員をされていた竹下先生にお送りしました。自分の教室の研究内容とかぶるにも関わらず、非常にfairに査読をいただき、厳しいコメントもいただきながら最終的にacceptになりました。本当に、科学に厳しくfairな先生だと思った記憶があります。その後も、何人かの竹下先生のお弟子さんにあたる先生方と話しをさせていただき、間違いなく尊敬できる先生のお一人であると言えます。
 このエッセイに書かれた内容は、筒井先生の意見でもあると思いますが、亡くなられる3ケ月ほど前に竹下先生自身が、直接筒井先生に遺言として伝えられた内容でもあるようです。私も、肝に銘じておきたいと思い、書かせていただきました。筒井先生、本当にいい話しをご紹介いただき、心より感謝いたします。 ty
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