教官のつぶやき+近況<研究、診療、教育、医局>
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思考を考える
「思考の整理学」外山滋比古(とやま しげひこ)著(筑摩書店)を久しぶりに読み返してみました。何年か前になりますが(今も?)、東大・京大で1番読まれた本…という帯で売られていた本で、買って読んだのですが、その際は、あまり心を震わせない印象の本で、さあっと目を通しただけだったような気もします。何か、ふと、再度読む気になり、本にカバーをつけて鞄に入れて出かけると、電車の中で読みやすい長さであったこともあり、ざっと読んでしまいました。
 この最終章の「コンピューター」という章を読んで、びっくりしました。なんと、今ニュースや新聞で取り上げられるAIに人間の仕事がとって代わられることなどが書かれています。驚くのは、この本が書かれた年が、なんと1983年である….ということです。私は中学3年生、阪神タイガースが、久しぶりに優勝した年の前の年…にこの話が書かれているところに驚きを感じます。まだ、コンピューターがそんなに発達していない時に、ここまで予想する…その先見の明に感銘すら受けます。仕事においても、研究においても、一所懸命に今やるだけではなく、こういう未来予想をする(終わりから考える…こういう未来になるから、今こうする こういう未来を目指して、今こう取り組んでおく)ことが、重要であると常々思っていますが、やはりこれが難しいわけです。でも、この本を読んで思ったことは、未来予想は昔に誰かがしてくれている…ということです。自分で考える範囲は限られていますので(もちろん自分で考えるのですが)、本や論文などで昔の人の意見を学ぶ作業は必要になり、その中のどの意見や未来予想を一部取り入れて、自分の未来予想や行動に反映させるか….は、やはり自分の問題・選択になります。最新の論文や本を読むときに、数年後・10年後・もっと先を見越しながら読んでいますでしょうか?
 この「思考の整理学」という本は、今一度、考えること・学ぶことをその方法から意識させてくれる本かと思います。 ty
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医学の進歩は良いのだが....
 「医学の勝利が国家を滅ぼす」里見清一 (新潮新書)というタイトルの本を読みました。最近、よく報道されているオプジーボ問題もからめての、今までの日本の医療の考え方(当たり前と思っていること)と、そこから考えられる将来の日本の医療と医療費・国家予算・人口推移から想定される問題をズバッと一刀両断したような内容です。 賛成できる意見ばかりではないですが、考えないといけない問題であることは自明ですし、こういう問題提起は必要です。 
 オプジーボ(PD-1を標的にした抗体医薬)の問題はみなさんご存知かと思います。 もともと患者数の少ないメラノーマに対しての治療薬として保険適応(ならびに薬価の設定が)され、その後、非小細胞肺癌に対して適応が広げられ適応患者数が激増しました。体重にもよりますが1人の年間の薬剤費が3500万円になるので、患者数を掛け算して試算すると、この薬剤の費用だけで1兆円を軽く超えることになって有名になりました。 最近、いきなり薬剤費を半額にしなさい....となった薬剤です。 
この本の中には、この半額にしなさい...という案は、前例がないこともあり不可能だと予想して書かれていましたが、現状の日本では、「お金がない」こともあり、今後も前例がないことが淡々と行われていく(そうせざるを得ない)ことが容易に予想できます。 今後もっともっと医療が進歩して、さらに高齢化が間違いなく進みますので、医療費が減ることはあり得ません。でも、出せなくなるときに、それを受け入れることができるのか、何をどうすれば良いのかを考えている人は少ないのが現実です。 消費税upの問題と同じで、医療サービス環境のレベルを下げることを政治の中で話題にすると選挙に負けて、政権交代になってしまうので話題にしにくい問題でもあります。 研究と診療を同時に進めるような医療機関でも、negativeな意見は受け入れられにくいので、大きな声で言いにくい実情はあります。 しかし、冷静に考えると、分子標的薬や抗体医薬も今後もどんどん出てきますし、すべての分野で新しい治療法や治療薬は増えていきます(良いことなのですが....)。 という現実のもとで考えると、この種の問題は益々大きくなることは容易に予想できます。 医療者としても、今までの当たり前を、今から変えろ....と厚労省から言われることを覚悟しながら、いろいろなことを考えたり、進めたりしないといけないと考えます。 私も悪い方向に考えるのは好きではありませんが、現実から目を背けるのは好ましくないと思います。 みなさんも考えるきっかけにしていただければと思います。
 ちなみに、オプジーボ(OPDIVO)という名前ですが、小野薬品のHPを見るとOPD1VO(O PD-1 VO)となっており、なかにPD-1が入っています。気づいていましたか? 何でもそうですが、なんでそうなるのか?を考えることは、ふとした気づきにつながり勉強になります。 例えば、安部総理が、3本の矢として「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」を掲げて、アベノミクスを進めていますが、安部さんの出身は、山口県。すなわち、中国地方の武将の毛利元就の「3本の矢」の話から派生していることは容易に思いつきます。さらに、サッカーJ1のサンフレッチェ広島の名前も、「サン=3」と「フレッチェ=イタリヤ語で矢」であり同じ3本の矢に起因するようです。なにげなく…ではなく、なぜかを考えながら進めていきたいものです。 免疫の話になりますが、PD-1/PD-L1の機序や治療への応用も一度勉強しておいても良いと思います。 ty


本日はお日柄もよく
「困難に向かい合った時、もうだめだ、と思った時、想像してみるといい。
 三時間後の君、涙がとまっている。
 二十四時間後の君、涙は乾いている。 
 二日後の君、顔をあげている。
 三日後の君、歩き出している。」

 この言葉は、「本日はお日柄もよく」という原田マハ さんの著作にでてくる言葉です。辛い時に、確かになあと思える言葉かと思います。 気持ちが落ち込んだ時に思い出してください。 
 ちなみに、この小説は、私は大変面白い作品だと思っていますが、WOWWOWでドラマ化されるようです。スピーチライター(人のスピーチのアドバイスや原稿作成をする仕事)の話なのですが、プレゼンをする人には、大変参考になる色々な極意が書かれています。 もしよければ、一度読んでみてください。 ty


ゲーテの言葉
人生はすべて「したいけど、できない」「できるけど、したくない」からの二通りから成り立っている。
十歳は菓子に、二十歳は恋人に、三十歳は快楽に、四十歳は野心に、五十歳は欲に動かされる。
いつになったらちゃんと出来るのか。 
君は本気で生きているのか?  ゲーテ 

戦略は「1杯のコーヒー」から学べ! (永井孝尚 著)
 最近、コーヒーに関して調査する機会があり、以前に読んだ本を再度開きました。ネスレの「ネスカフェアンバサダー」は有名になり、さらに同様の戦略でビジネスを進めて、高級志向に向けさせて単価をあげながらターゲットを少し変えようとしているようです。「ネスカフェバリスタ」や「ネスカフェアンバサダー」は、企業戦略的に言えば、完全なる『消耗品ビジネス』と呼ばれる儲け方で、別名『ジレットモデル(Gillette model)』と呼ばれるビジネスモデルです。ジレットは、ひげ剃りで本体を安く売り、替え刃(消耗品)を継続して買ってもらうことで、最終的に儲ける作戦。その他の商品では、プリンターやコピー機も同じビジネスモデルで儲けています。「ネスカフェバリスタ」は本体を7000円というreasonableな価格で販売して、消耗品を買ってもらう。さらに「ネスカフェアンバサダー」はその本体を無料提供することで、契約して消耗品のみで儲けるやり方ですが、携帯電話本体無料(2年契約の月々の支払いに入っている)に慣れた人達には、違和感なく受け入れられたのでしょう。同じ、ネスカフェのインスタントコーヒーを飲むのに、エスプレッソタイプコーヒー、ブラックコーヒー、ブラックコーヒーマグサイズ、カプチーノ、カフェラテの5種類の飲み方(入れ方)ができる…というのを売りにして、1杯20円で売る(その消耗品を4000円以上なら送料無料で仕事場に届けてくれる)という訳です。
 その後、「ドルチェグスト」というのを出して、インスタントコーヒーをレギュラーコーヒーの粉に変えて、1杯分ずつカプセルに閉じ込めることで酸化を防止して、毎回機械の中で抽出するやり方で、香りも楽しみながら少し高級感をだした訳です。ちなみに、機械は「バリスタ」と同じ7000円程度、コーヒー1杯分の値段は60円になります。 
 さらに、最近コマーシャルをしている「ネスプレッソ」は、高圧のエスプレッソを作る抽出方法ができる機械をやはり7000円で提供して、消耗品のネスプレッソカプセル(1杯に1カプセル)を100円で売るビジネスとなり、より高級感と個人の好みにも答えるかわりに、単価をあげる戦略です。調べてみると、プリンターのインクのゾロ品と同じで、専用カプセルをまねて作成したカプセル(売られている)に自分で好みのコーヒーを入れるやり方もあるようですが…味はどうか分かりません。
 さあ、どれを選ぶか…? ランニングコストや使用環境を考えて、再考してみる必要があるように思います(消費者の方になるのだから、戦略に踊らされないように考える必要があります)。
 ちなみに、この本には、スターバックスの失敗と成功・セブンカフェ(セブンイレブン)の何度ものtry and errorの話し・ドトールコーヒーの戦略・UCCのイノベーション・マクドナルドの100円コーヒーの戦略・前にも紹介したマーケティング3.0・企業や事業としてのsustainability(持続性)の問題などが書いてあり、大変勉強になります。でも、この古いビジネスモデルを真似しても、新しい仕事や取り組みは失敗します。あくまで我々は、考え方を参考にして、自分のやり方で物事を進めていくべきでしょう。 ty